WEBマーケティング業界の「パッケージ売り」とは
WEBマーケティングの会社に相談すると、多くの場合、あらかじめ用意されたプランが提示されます。
「SNS運用プラン:月額15万円(月12投稿、レポート付き)」「ホームページ制作+SEO対策セット:初期費用80万円」「WEB広告運用代行:広告費の20%が手数料」。
こうした「パッケージ型」の提案は、業界では一般的です。料金が明確で比較しやすいというメリットがある一方で、本当にそれがクライアントの課題解決に直結しているかは別の問題です。
実際、パッケージを導入したけれど成果が出なかったという声は非常に多く聞きます。その理由を深掘りしていくと、パッケージ売りという仕組み自体に構造的な問題があることが見えてきます。
パッケージ売りが成果につながりにくい3つの理由
理由1:課題の特定なく施策が始まる
パッケージ売りの最大の問題は、クライアントの課題を十分に理解する前に、施策の内容が決まってしまうことです。
たとえば、「WEB集客を強化したい」という相談に対して、「ではSNS運用プランはいかがですか」と提案するケース。しかし、その企業の本質的な課題がSNS運用にあるとは限りません。
そもそもホームページの導線設計に問題があるのかもしれない。ターゲット設定がずれているのかもしれない。競合と同じ訴求をしているために差別化できていないのかもしれない。
課題を正確に特定しないまま施策を始めることは、病名がわからないまま薬を処方するのと同じです。運が良ければ効きますが、多くの場合は効果が出ません。
理由2:売り手の効率が優先されている
パッケージ型のビジネスモデルには、売り手側にとっての効率性があります。提案の型が決まっているため、営業コストが下がります。作業内容が標準化されているため、オペレーションも効率的です。
しかし、それは売り手の効率であって、クライアントの成果のための設計ではありません。
10社のクライアントに同じパッケージを提供すれば、売り手は効率的に回せます。しかし、10社それぞれが抱える課題は異なります。商圏も違えば、ターゲットも違う。競合環境も、自社の強みも、予算の規模も違います。
同じ処方で全員が治るなら、医者は問診をする必要がありません。WEBマーケティングも同じです。
理由3:「やっている感」で終わる
パッケージ型の施策は、毎月の投稿数やレポートの提出など、「やっていること」が可視化されやすいという特徴があります。月に12本投稿しました。PV数はこれだけ増えました。フォロワーが何人増えました。
しかし、本当に大事なのは「問い合わせが来たか」「売上につながったか」です。
施策をやっていること自体が安心感になってしまい、肝心の成果から目が離れる。これがパッケージ売りに潜む「やっている感」の罠です。
課題特定から始まる提案の形
パッケージ売りをしない場合、提案はどのような形になるのか。
まず行うのは、徹底的なヒアリングです。クライアントの事業内容、ターゲット層、現在の集客状況、過去に試した施策とその結果、競合の状況、経営者の想い。これらを時間をかけて聞き取ります。
次に行うのは、市場調査です。競合のWEB施策をすべて洗い出し、検索ボリュームを調べ、ターゲットの検索行動を分析します。クライアントの現在のホームページやSNSのデータも詳しく分析します。
そして、ボトルネックを特定します。成果が出ていない原因が、ターゲット設定にあるのか、訴求内容にあるのか、導線設計にあるのか、そもそも競合環境に問題があるのか。根本原因を突き止めます。
ここまでやって初めて、「だからこの施策が必要です」という提案ができるのです。
この順番が逆転している提案は、すべてパッケージ売りです。施策ありきではなく、課題ありきで考える。これが成果に直結する提案の基本的な形です。
受注前から動くのが当たり前
「そこまでやって、受注できなかったらどうするのか」
これは当然の疑問です。ヒアリングや市場調査には時間がかかります。受注前にそこまでのコストをかけるのは、ビジネスとして非効率ではないかと。
確かに、パッケージ売りの方が効率は良いかもしれません。しかし、受注前にここまで動くからこそ、クライアントは「この人は本気で自社のことを考えてくれている」と感じます。
テンプレートの提案書を持ってくる営業と、自社の市場を徹底的に調べた上で具体的な課題と打ち手を提示してくれる人。どちらに仕事を任せたいかは明白です。
受注前から動くことは、一見すると非効率に見えます。しかし、この姿勢が信頼を生み、結果として長期的な関係性につながるのです。
実際に、この方法で支援を始めたクライアントの契約解除率は0%です。最初の提案の段階で信頼関係が構築されているため、契約後にギャップが生じません。
一社一社に向き合うことの価値
パッケージ売りをしないということは、一社一社に対して個別の戦略を設計するということです。これは時間も労力もかかります。同時に多数のクライアントを抱えることは難しくなります。
しかし、その分、一社あたりの成果は確実に高まります。
ある中古車販売店の例では、5ヶ月間成約ゼロだった状況から支援を開始しました。もしここでパッケージ型のSNS運用を提案していたら、おそらく成果は出なかったでしょう。
実際に行ったのは、その店舗独自の強みと地域の競合環境を徹底的に分析し、勝てるポジションを設計した上で、最適な施策を組み立てることでした。その結果、毎週商談が入るようになりました。
この成果は、パッケージの横展開では生まれません。その企業だけの課題に、その企業だけの解決策を設計したからこそ実現したものです。
まとめ
パッケージ売りは、売り手の効率のためのビジネスモデルです。クライアントの成果を最大化するためのものではありません。
本当に成果を出す提案とは、まずクライアントの課題を徹底的に理解し、市場を調べ、ボトルネックを特定してから、最適な打ち手を設計するというプロセスです。時間はかかりますが、この手順を踏むことで、施策が「なんとなくやっている」状態から「成果に直結する」状態に変わります。
D'Lightでは、あらかじめ用意されたプランを提案することはありません。まず貴社の状況を徹底的にお聞きし、市場を調べた上で、本当に必要な施策だけをご提案します。「いろいろやっているのに成果が出ない」とお感じの方は、一度お話をお聞かせください。
関連記事
「伴走型」WEBマーケティングとは何か|外注ではなく共同事業者として
「伴走型支援」という言葉は多くの会社が使いますが、その定義は曖昧です。本当の伴走型マーケティングとは何か、外注との違い、共同事業者としての関わり方を解説します。
直接訪問にこだわる理由|現場を見ないとわからないことがある
効率化が進む時代に、あえて直接訪問を続ける理由。画面越しでは見えない店舗の雰囲気、スタッフの動き、地域特性から、本当の課題と可能性が見えてきます。
中小企業のブランディング入門|「選ばれる理由」の作り方
大企業のような予算がなくても、中小企業にはブランディングが必要です。競合と差別化し「選ばれる理由」を作るための実践的なブランディング手法を解説します。