増え続ける「オンライン完結型」WEBコンサル
コロナ禍を経て、WEBマーケティングやコンサルティングの世界では「オンライン完結」が主流になりました。初回の相談からヒアリング、戦略提案、月次報告まで、すべてZoomやGoogle Meetで完結する。クライアント側も移動の手間がなく、業者側もコストを抑えられる。合理的な仕組みに見えます。
しかし、この「合理性」が成果を遠ざけているケースが少なくありません。特に中小企業のマーケティング支援においては、画面越しでは絶対に見えない情報が存在します。そしてその情報こそが、成果を出すための鍵であることが多いのです。
オンラインで見えないものは何か
WEBマーケティングの支援において、オンラインミーティングだけでは把握できない情報を具体的に整理します。
店舗や事業所の雰囲気
飲食店、美容室、クリニック、小売店など、店舗型ビジネスのマーケティング支援では、実際の店舗を見ることが不可欠です。内装のテイスト、清潔感、動線、BGM、照明、スタッフの接客態度。これらの要素は、WEB上での訴求方針を決める上で極めて重要な情報です。
たとえば、WEBサイトでは「高級感のある落ち着いた空間」と謳っているのに、実際の店舗はカジュアルでにぎやかな雰囲気だったとします。この場合、WEBでの訴求と実際の体験にギャップが生じ、来店したお客様の期待を裏切ることになります。逆に、実際の店舗に素晴らしい魅力があるのに、WEB上でそれが表現できていないケースも多々あります。
画面越しのヒアリングで「店舗の雰囲気を教えてください」と聞いても、言語化できる情報には限界があります。
地域の特性と競合環境
地域密着型のビジネスでは、その地域の空気感を知ることが戦略の精度を大きく左右します。駅からの導線、周辺の商業施設、競合店の立地と外観、通行量と客層。これらの情報はGoogleマップでは得られません。
ある地域で「WEB広告を強化すべきか、それともGoogleビジネスプロフィールの最適化を優先すべきか」という判断は、その地域の実際の人の流れや競合の強さを肌で感じなければ正確にはできません。
スタッフの能力とモチベーション
WEBマーケティングの施策は、最終的に社内の人間が運用していくものです。SNS投稿の担当者はどの程度のスキルを持っているか。経営者のITリテラシーはどのレベルか。社内にマーケティングへの意欲がある人材はいるか。
これらの情報は、オンラインの打ち合わせで直接聞くことはできますが、実際に現場を訪問してスタッフと話すことで得られる情報の精度はまったく違います。言葉で「できます」と答えていても、実際には不安を抱えていたり、リソースが足りていなかったりすることはよくあります。
経営者の本音
オンラインミーティングでは、どうしても「公式な」会話になりがちです。事前に用意した議題に沿って話が進み、予定時間になったら終了する。
一方、対面での訪問では、ミーティングの前後に雑談が生まれます。受付から会議室までの移動中、ミーティング後のお茶を飲みながらの会話。こうした非公式なやりとりの中で、経営者の本音や潜在的な悩みが漏れ出ることは珍しくありません。
「実は社内でWEB担当を置くかどうかで悩んでいて」「正直、前の業者には不信感があって」。こうした本音が聞けるかどうかで、提案の方向性が大きく変わることがあります。
効率重視がもたらす弊害
「オンライン完結」が悪いと言いたいわけではありません。しかし、効率を最優先にした結果、失われているものについては正しく認識しておく必要があります。
表面的な課題しか見えない
オンラインヒアリングでは、クライアントが自ら言語化できる課題しか把握できません。しかし、本当のボトルネックは、クライアント自身が気づいていない部分にあることが多いのです。
「WEBからの問い合わせが少ない」という表面的な課題の裏には、「そもそもターゲットと商圏がずれている」「店舗の強みがWEB上でまったく伝わっていない」「スタッフの接客品質が口コミ評価を下げている」といった、より根本的な問題が隠れていることがあります。
これらは現場を見て初めてわかることです。
信頼関係が浅くなる
ビジネスにおいて、信頼関係の構築は成果に直結します。特に中小企業の経営者は、「この人になら任せられる」という人間的な信頼を重視する傾向があります。
オンラインだけの関係では、どうしても「業者と発注者」という距離感から抜け出しにくい。対面で何度も顔を合わせ、同じ空間で課題に向き合うことで生まれる信頼関係は、施策の実行スピードや情報共有の質に大きく影響します。
提案がテンプレート化する
オンライン完結型のビジネスモデルでは、一人の担当者が多くのクライアントを掛け持ちすることが前提になります。訪問のための移動時間がない分、より多くの案件を担当できるからです。
しかし、案件数が増えれば一社あたりに割ける時間は減ります。結果として、提案がテンプレート化し、各社の固有の課題に深く踏み込むことが難しくなります。
対面とオンラインの使い分け
すべてのミーティングを対面で行う必要があるとは考えていません。重要なのは、対面でしか得られない情報がある場面を見極め、適切に使い分けることです。
対面が重要な場面
- 初回のヒアリング — 事業全体を理解するために、現場を見ながら話を聞く
- 戦略の転換点 — 大きな方針変更が必要な際は、対面で認識をすり合わせる
- 現場の課題把握 — 店舗やオフィスの環境、スタッフの動きを直接確認する
- 信頼関係の構築初期 — 関係が浅い段階では、対面での接点が信頼を加速させる
オンラインで効率化できる場面
- 定例の進捗確認 — データの共有と確認は画面共有で効率的に行える
- 軽微な修正の相談 — ちょっとした変更の依頼や確認は、オンラインで十分
- レポートの共有 — 月次レポートの報告はオンラインでも問題ない
大切なのは、「すべてオンライン」でも「すべて対面」でもなく、目的に応じて最適な手段を選ぶことです。
業者選びで確認すべきポイント
WEBマーケティングの業者を選ぶ際に、対面対応の姿勢を確認するためのポイントをまとめます。
- 訪問対応の有無を確認する — 初回ヒアリングや定期的な訪問に対応しているか
- 担当者の地理的な範囲を聞く — 遠方のクライアントにはどのように対応しているか
- 現場視察の経験を聞く — 過去のクライアント支援で、現場を見たことが施策にどう反映されたかの事例があるか
- コミュニケーションの頻度と手段を確認する — 対面、オンライン、チャットなど、どのような組み合わせで運用しているか
「オンライン完結で効率的です」をアピールポイントにしている業者には、「効率的であること」と「成果が出ること」は別の話であるという視点を持って接しましょう。
まとめ
オンライン完結型のWEBコンサルティングは、コスト効率という点では優れています。しかし、中小企業のマーケティング支援において、現場を見ずに本質的な課題を把握することは極めて難しい。店舗の空気感、地域の特性、スタッフの表情、経営者の本音。こうした画面越しでは見えない情報が、成果を左右する重要なファクターになります。
D'Lightでは、クライアントの現場に足を運ぶことを基本としています。画面越しのやりとりだけでは見えない課題を自分の目で確かめ、そのうえで戦略を設計する。一人の担当者が現場を知り、戦略を立て、施策を実行するからこそ、机上の空論ではない実効性のある改善が可能になります。WEBマーケティングに本気で取り組みたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
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