WEB業界に蔓延する「パッケージ売り」とは
WEB制作会社やマーケティング会社に相談すると、多くの場合「プランA」「プランB」「プランC」といったパッケージプランを提示されます。ページ数、機能、オプションが段階的に組み合わされた定番のメニューです。
一見すると、わかりやすくて選びやすい。比較検討もしやすいように思えます。しかし、このパッケージ売りこそが、WEB制作やマーケティングで成果が出ない最大の原因のひとつです。
なぜなら、パッケージプランは「クライアントの課題を解決するために設計されたもの」ではなく、「制作会社が効率よく売上を立てるために設計されたもの」だからです。
なぜパッケージプランが存在するのか
パッケージプランが業界に蔓延する理由は、極めてシンプルです。売る側にとって圧倒的に効率がいいからです。
営業効率の最大化
パッケージ化されていれば、営業担当者は深いヒアリングをしなくても提案ができます。クライアントの業界知識がなくても、「御社にはBプランがおすすめです」と言えば商談が成立します。営業マンの育成コストも低く抑えられます。
制作工程の標準化
同じ構成のサイトを量産できれば、制作コストは大幅に下がります。テンプレートを使い回し、デザインのパターンも決まっている。ディレクターもデザイナーもコーダーも、流れ作業のように対応できます。
利益率の確保
パッケージプランは原価が計算しやすいため、利益率のコントロールが容易です。「この価格でこの内容を提供すれば、利益率は40%」という計算が成り立ちます。カスタム対応にすると、工数が読めず利益が圧迫されるリスクがあります。
つまり、パッケージプランは「クライアントのため」ではなく「制作会社のビジネスモデルのため」に存在しているということです。
パッケージ売りの具体的な問題点
では、パッケージ売りはクライアントにとって何が問題なのでしょうか。具体的に見ていきます。
問題1:ヒアリングが形だけになる
パッケージプランが前提にある商談では、ヒアリングの目的が「課題を理解すること」ではなく「どのプランに当てはめるかを決めること」にすり替わります。
「月間のアクセス数はどのくらいですか?」「SNSは運用されていますか?」といった質問は一見まともに見えますが、その回答がプランの選定以外に活かされることはほとんどありません。
本来のヒアリングでは、事業のビジョン、ターゲット顧客の特性、競合環境、過去の施策の結果、社内のリソース状況など、多角的な情報を深掘りする必要があります。しかしパッケージ前提の商談では、そこまで踏み込む動機が制作会社側にありません。
問題2:課題とソリューションがずれる
飲食店と製造業では、WEBで解決すべき課題がまったく違います。地域密着の小売店と全国展開のECでは、必要な施策も異なります。
それなのに、同じ「ホームページ制作プラン」が適用される。SEO対策が必要な企業にSNS連携ボタンが付き、Instagram集客が本命の店舗にブログ機能が搭載される。課題と打ち手がかみ合わなければ、どれだけ見た目が綺麗なサイトを作っても成果は出ません。
問題3:不要な機能と足りない機能が同居する
パッケージプランには「この価格帯ならこの機能」という縛りがあります。結果として、使わない機能が含まれている一方で、本当に必要な機能が「上位プランのみ対応」とされることがあります。
月額費用を抑えたいがためにBプランを選んだら、集客に直結する機能が使えない。かといって上位プランにすると、不要な機能まで抱き合わせで付いてきて割高になる。この構造は、クライアントにとって合理的とは言えません。
問題4:成果へのコミットメントが生まれない
パッケージ売りのビジネスモデルでは、「プランの内容を納品すること」がゴールになります。サイトを公開する、広告を設定する、SNSアカウントを開設する。これらの「作業」が完了すれば、制作会社としては契約を履行したことになります。
しかし、クライアントが本当に求めているのは「集客」「売上」「問い合わせ」といった成果です。納品完了と成果達成の間には大きなギャップがあり、パッケージ売りの構造ではそのギャップを埋めるインセンティブが制作会社側にありません。
「ヒアリングが丁寧」は信用できるか
パッケージ売りへの批判を意識して、「当社は丁寧なヒアリングを行います」とアピールする制作会社も増えています。しかし、ヒアリングが丁寧かどうかは、その後の提案内容を見なければ判断できません。
チェックすべきポイントは以下の通りです。
- 提案内容がヒアリング内容と紐づいているか — 聞いた情報が提案書のどこに反映されているかを確認する
- 自社の課題に対する独自の仮説があるか — テンプレート的な提案ではなく、「御社の場合はこうだからこうすべき」という論理があるか
- 他社への提案書と区別がつくか — 社名を入れ替えただけで他の企業にも送れるような提案書ではないか
- 施策の優先順位が明示されているか — すべてを同時にやるのではなく、何を最初にやるべきかが示されているか
これらのポイントに当てはまらない提案は、ヒアリングが形だけだった証拠です。
本当に成果を出す業者の選び方
パッケージ売りの落とし穴を避け、本当に成果を出してくれる業者を選ぶには、以下の基準で判断することをおすすめします。
基準1:課題から逆算した提案をしてくれるか
優れた業者は、プランありきではなく、クライアントの課題から逆算して施策を設計します。「何をやるか」の前に「なぜやるか」が明確になっているかを確認しましょう。
基準2:戦略と実行が分離していないか
戦略を立てる人と実行する人が別々だと、現場の状況に応じた柔軟な対応ができません。戦略立案から施策実行までを一気通貫で担当してくれる体制かどうかは、成果に直結する重要なポイントです。
基準3:改善のサイクルが仕組み化されているか
WEBマーケティングは「作って終わり」ではなく、公開後の改善がもっとも重要です。データを分析し、仮説を立て、施策を修正し、再度検証する。このサイクルがどのように回されるのかを具体的に聞きましょう。
基準4:過去の成果を具体的な数字で示せるか
「多数の実績があります」ではなく、「月商30万円の店舗を年商1億3,000万円まで成長させた」「5年間問い合わせゼロの状態を3ヶ月で改善した」といった具体的な数字で語れる業者は信頼度が高いです。
基準5:契約解除率を聞いてみる
成果を出し続けている業者は、クライアントが離れません。契約解除率が低い業者は、それだけクライアントの満足度が高い証拠です。この質問への回答を濁す業者には注意が必要です。
まとめ
パッケージ売りは、WEB制作会社にとっては効率的なビジネスモデルですが、クライアントにとっては成果が出にくい構造を持っています。自社の課題に合った施策を選ぶためには、パッケージの比較ではなく、提案の質と業者の姿勢を見極めることが大切です。
D'Lightでは、パッケージプランを一切用意していません。すべてのクライアントに対して、事業の現状と課題を深く理解した上で、完全カスタムの戦略を設計しています。戦略の立案から施策の実行までを一人の担当者が一貫して担い、成果が出るまで伴走します。「自社に合った提案がほしい」と感じている方は、お気軽にご相談ください。
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